「ぐっ…ぅ…っあ」


中を出入りする肉の感覚は、それが誰のモノであろうと気持ち悪い。

律動に合わせて、まだ萎えたままの恋次自身を片手で包み込むとそのまま擦られて。
それで反応してしまう男の性に対する情けなさは、本当に嫌になる。

痛いのに。
苦しいのに。
なんでこんな状態で立っちまうんだよ畜生。

相手が欲望のままに勝手に動いて、勝手に終わってくれればそれでいい。
それならば無抵抗で何度も殴られたのと同じ。勝手になぶって終わるあの連中達と同じ、何でも無いただの暴力として自分の中で終わらせられるのに。
痛みになら、絶えられる自信があったのに。

「…ふっ…ぅ…」

白哉の手の中でソレが徐々に芯と熱を持ち、硬く立ち上がる。
先端から先走った液が白哉の細い指を濡らし、ほどよい滑りとなって更に恋次の熱を追い立てた。

じわりと滲む汗が、額から流れ落ちる。
視界はもう涙でかすんで、ぼやけた天井しか映さない。
一定のリズムを刻んで繰り返される痛みに体が慣れてきた頃、沸きあがってくるのは恐ろしいほどの射精感。
どくどくと血液の脈打つ音まで聞こえてくる。


「はっ…や、嫌だ…ッ…」

嫌だ。
高まっているのだ。こんな浅ましい行為に興奮しているのだ。
何の感情も無い唯の性処理に、体が熱を帯びて喜んでいるなんて錯覚以外の何物でもない。
現実に、自分の上で好き勝手に動く白哉は恋次に対して何の感情も言葉も出していないじゃないか。
それどころか、自分のささやかな感謝を、尊敬を裏切った。

自分は男で。
相手も男で。

愛の言葉も無ければ、優しい気遣いも無い。

こういう行為をする上で、あるべき感情が何も無い。
同性同士、性別の差を越えて結ばれるのならば、余計になければならないだろう繋がりが何も無い。
そこにあるのは唯の暴力。


ともすれば結論はあれだ。
「暇潰し」もしくは「吐きだめ」


野良犬の自分にはお似合いかもしれない、と白くなっていく頭の片隅で冷静に笑った。

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頬を流れ落ちるのは、汗と、涙。

耳に入るのは、中に出された白哉の精が、自分の肉とこすれて発する卑猥な音。


「―――っは…はぁっ…」

自分の荒い息切れと、白哉の僅かに乱れた深い息継ぎ。
散々好き放題されて意識の薄れていく目に移るのは、悲しげなその人の綺麗な顔。優しい口付け。



それは錯覚だと。――言い聞かせる。
強く抱きしめてくるその腕を、振り解く。



綿雪の下を自室へと走り、逃げる。

頬を伝う涙が、凍える肌に熱かった。








fin...






■あとがき


雪の下=ゆきのした
花言葉は「切実な愛情」


宮柄様の片思い〜両思いのリクを、ついでに片思いのままで止めてたミツヤ様のリクの続編で書こうと決めたので、その繋ぎの話です。
(別の話が思いつかなかったんです。ミツヤ様、宮柄様には了解を取っておりませんので、不快な場合は言って下さい!!すみません!)


えーと。
白哉さん愛はあるんですが、執着心の方が強くって伝え方が分からずに一方的に押し付けてます。
なので恋次は白哉の片思いだから故の行動に、全く気が付いてません。

そこん所を、もちょっとちゃんと書ける文才が欲しいです(涙)

つうか…い、痛い文ですみませんすみません。。
こんなの白哉じゃない!と気分を害しちゃった方がいたらごめんなさい。

このまま続きます。





01 / 02 / 菊の跡



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