夜が明けるまで
「あら、まだ仕事中?」
どうぞと促すと、扉を開けて顔を出したのは十番隊の松本乱菊だ。
扉の柱枠へ手を掛けたまま室内をきょろきょろを見渡し、その部屋の中にいるのは恋次だけだと分かると、2.3歩室内へと入ってくる。
「朽木隊長は?」
「忙しいみたいで殆ど会ってねぇです。予定じゃ今は山本総隊長に呼ばれる筈なんすけど」
「ふぅん」
「何か、隊長に用すか?」
「…何…って別に朽木隊長に用じゃないの。ほら、前に言ったじゃない今夜の宴会。あんまり遅いから迎えにきたのよ。修兵や吉良も、みんな集まっててもう始めちゃってるケド」
「…はあ…」
そういえば…と恋次は思考を巡らせた。
確か先月の終わり頃に、酒の席でそんな話になったような記憶がある。
だが、わざわざ乱菊が迎えに来たという事が腑に落ちない。通常の彼女なら誰かに役目を押し付けて、酒席からは絶対に動きそうもないイメージなのだが、どういう風の吹き回しだろうか。
「今十番隊の執務室でやってんだけど、用意してたお酒が無くなりそうでさぁ。くじ引きで負けちゃったから仕方なくなんだけど〜。か弱いレディにお酒運ばせるなんて皆冷たいわよねぇ、そう思わない?ねぇそう思うでしょ〜?」
「………」
日番谷隊長の眉間の皺がまた1本増えた姿を想像し、恋次は苦笑した。
ようは、来るならお使いを手伝えと。
恋次を迎えに来たというよりは、どうやらこちらの方が本音らしい。
不服そうに愚痴を零す彼女からはふんわりとした女性の香りとは明らかに違う酒独特の強い匂いが漂ってくる。
既に彼女も良い具合に酔っ払っているのだ。
「で、恋次はどうすんの?」
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