夜が明けるまで
「別に、今夜の忘年会は強制参加じゃねぇし…。これといって予定はねぇよ」
「そっか…じゃあ」
「つかさ、石田や茶戸はどうしたよ?」
「皆とは年明けの初詣で会おうって約束はしてんだけど」
「ならいいじゃねぇか」
「いや、そうじゃねぇんだ…」
「それともアレか。お前一人じゃ寂しいとかそんなトコか?」
「…いや…」
「っはは!まだまだ餓鬼だよなお前ぇお子様!」
「馬鹿野郎!!俺はそんな餓鬼じゃねぇ!!」
ブチっと音を立てて、通話が切れた。
「…逆切れ…しやがった」
しばらくじぃっと着信切れの画面を見つめていると、2・3秒後にメールの受信画面に切り替わる。
送り主はもちろん一護。
”馬鹿恋次!!”
それだけの内容に恋次は少々吹き出した。
まさに青春を謳歌する高校生そのものだ。実際に生まれて十数年そこらしか生きてない餓鬼。駆け引きも何も無い真っ直ぐな反応に、若いなりの可愛さと捻くれ具合がが滲み出ていて、憎らしいを通り越して愛しく思える。
ようは「予定が無いなら家に来ないか」…と。
そう誘いたかったのだろうが。ほんの少しからかっただけでこの反応だ。
もしかしたらメールを送った後、今まさにこの瞬間部屋で一人ヘコんでいるのかもしれない。
それを想像すると余計に笑えた。
「そうならさっさと言えっての、阿呆」
恋次はこみ上げる笑みに肩を震わせながら、伝令神機を懐へと仕舞うとすっかり暗くなった執務室を出た。
もう他の隊員の気配もなく。
篝火を頼りに、暗い廊下を歩き出す。
⇒まぁ、会うのは年明けでいいよな
⇒しょうがねぇ、現世行ってやるか
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