日記にて気まま更新。獣系注意


白哉が出てき一人残された執務室。
ぽかぽかと暖かな日差しが差し込む昼過ぎ時、長椅子の上で眠っていた犬はピクリと耳を動かすと、勢い良く上半身を起き上がらせた。

夢と現実の狭間でうつらうつらと船を漕いでいた時にも扉の前の廊下を人が行き交う足音が絶えず耳に入ってはきたが、皆足早に通り過ぎてゆくだけで、執務室へと足を止める者はいなかった。
だが、恋次はピンと耳を立てて扉へと視線を移す。

扉の向こうに、人の気配がする。
入室許可を求める声は無く、しかしその気配は白哉のものでも無い。
一体誰だろう。扉が僅かに動く気配に恋次は少し身構えた。



「うわぁあああ!!」

「!!!??」

身構えていたからか、突如として起こった事態に恋次は目を見開くだけで済んでいた。
これが眠っている状態でいきなりの事であったなら、情けない顔を晒して慌てふためいただろう。

恋次は恐る恐る…、大量の書類を部屋にぶち撒けながら派手に執務室にダイブしてきた小柄な隊員に近づいた。

「いてて、やっぱ無理して運ぶんじゃなかったなぁ」

未だに床に這い蹲るその隊員は未だ恋次の存在には気付いておらず、一人ぶつぶつと何かしら喋りながら床の書類を拾っている。
普通ならばもっと警戒する恋次であったが、その姿があまりにも情けなく、敵意や警戒といった要素が見つからなかったせいもあり。
加えて何もする事がなく暇を持て余していた時に起こったハプニングに何かしら興味を惹かれたのか、とりあえず足元にまで飛んできた紙切れを拾い上げた。

「あっ…すみません!」

やっと恋次の存在に気付き声を上げた男、理吉は一瞬驚いた様にびくりと肩を揺らしたが、それは誰もいないと思っていた執務室に人がいた事に単純に驚いたというだけなのだろう。
次の瞬間には情けない醜態を晒してしまった事に顔を赤らめ、書類を拾う手伝い初めた男と一緒に大急ぎで書類を拾い集めてゆく。


そのまま黙々と書類をそろえ、ひとまとめにした所で、やっと理吉は恋次に深々と頭を下げた。








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