夜が明けるまで
案内人も不要になるほど訪れ慣れたその部屋の前に跪いて、その人の名を呼ぶ。
直ぐに開かれる戸と、現れるその人。
「遅い」
開口一番、不機嫌を隠さないその低い声音で咎められ、恋次は苦笑し謝罪した。
声を掛けてから戸が開かれるまでの速さを考えて、きっと自分の気配を察して迎えに立ってくれていたのだろう。
それが嬉しくて、ほんのりと胸が熱くなるのを感じる。
「随分、冷えておる」
「雪が降ってました、から」
肩を引かれ敷居をまたいで入った部屋は程よく温かく、差し出された座布団に腰を下ろして向き合うとまた先ほど思った事を思い出し、また頬が緩んだ。
「何がおかしい」
「いえ、」
同じだ。
去年のこの日、確かに俺はこの人の一緒に過ごしたんだなぁ…って。
そう思えて。
死神の一年は人間の一年の感覚とは程遠いものの、確かに今日、あれから1年過ぎたのだ。
「隊長」
「……」
「寒い、です」
口に出した言葉は去年と同じ。
けれども確かに違うものがある。
「そうか」
そう笑った目が去年より優しくなった事とか。
交わした接吻の数とか、過ごした夜の数とか。
俺がアンタを好きな事、とか。
全部。
「今年こそ、アンタに勝ちます」
「進歩が無い」
うるせぇよ。
A HAPPY NEW YEAR!
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