- 誰にもいえない、こんなことは。そう、あなたにも -
[微妙な19のお題一覧]


アイツとあの人が、上司と部下の関係だけじゃない事に気がついたのは最近の事。

「先輩?…檜佐木先輩」

「あ?」

「だから…って、また聞いてなかったんスか…」

「悪ィ」

いつものように連れ立って飯を食べに行き。
いつものように仕事の愚痴やら馬鹿な話やら、何でも無い事を話しながら笑い合う。

隊は違えど長い付き合いだ。
コイツの事は昔の事以外なら大抵知っている。
考えてる事なんて言葉に乗せなくたって分かる。


その一番近くにいるのは、俺の筈なのに。
さっきから気になって…気になって仕方がない。

「なんスか?さっきからジロジロと」

「いや…そのな…」

「…?」

気になるんだ。
目を反らせないんだ。


「あ…いや…、俺もそっちの定食にすりゃよかったなってな!」


違う。



「その天ぷら戴き!」
「あっズリィ!!」


違う。


違う。


そうじゃない。


お前は気がついてないんだろうな。
首筋の…鎖骨の少し下に見えちまう赤い痕。

お前の視線が俺から反れて、体を屈めて食事を口に運ぶ度に着物の下から見えるんだよ。


いっその事。
言っちまおうか。

あの人に付けられたのか?
いつ?
何処で?
いつから?


聞いてどうすんだ。

反対するのか?
あの人は完璧な人だ。
容姿、家柄、地位…何を比べたって勝てる筈がない。
否定する隙がない。
反対する根拠がない。



じゃあ。
応援してやるのか?


できる訳がない。


言える筈がない。


「ほら、こっちやるから怒んな」
「つうかコレ、先輩が嫌いなヤツじゃないっスか」
「文句言うな」


バカみたいな事を話して、笑って。




それが少しづつ、耐えられなくなる。






Fin...

修恋を書くなら白恋前提の三角関係が私的にストライクゾーン。



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