- 理由なんていりませんただ好きなんです -
[微妙な19のお題一覧]
この想いを、どうしたら貴方に伝えられるのだろう…。
ことん。程よい重みが足の上に落ちる。
膝の上に頭をのせて、貴方が見上げてくる。
僕はいつもどうしていいか言葉につまるのです。
骨ばった大きな手が僕の顔に、肌に、髪に触れて。
貴方はただ嬉しそうに笑って呟くんだ。
「綺麗な金糸の髪が好きや」
そんなの貴方の細く透き通った髪に比べたら何でもないのに。
「日焼けせん、その白い肌が好きや」
傷ひとつ見つからない貴方の美しい肌の方がよっぽど綺麗なのに。
「素直で可愛らしい性格が好きや」
陰険で神経質と言われる事の方が多いんですよ。
「ボクを映す空色の瞳が好きや」
その鋭い眼光で射抜かれたら、動ける人などいないというのに。
言わないで。そんな理由なんかいらない。
「イヅル…キスして」
僕はそっと、瞼を伏せた。
Fin...
言いたいけど、言葉にできない。言葉にならない。
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