- 「…イケナイ事。」 - [妄想人に捧ぐ48のエ口御題]
「てめぇ!くそっ」
人の気配の無い廃墟の、屋根の上。
さっきまで優勢だったのは自分の筈だった。
副官の自分と、五席のコイツ。
実力の差なんて歴然の筈で。
体力も剣技も、勝っていたのは俺で。
じゃぁ何で、コイツは俺の上に馬乗りになっているんだ?
ムカつくぐらい余裕な笑みで。
「退けよっ!」
「ふふ…もう動けなくなっちゃったんだ?」
額を冷たい汗が流れ落ちる。
まるで何時間も走り続けたみたいに動かない体。静まらない動悸。
息が、切れる。
コイツの冷たい眼差しに、悪寒が走る。
「なっ…」
「ちょっと相手してよ、隊長と一角の邪魔したくないからさ」
袴の帯を解かれ、白い指が入り込んでくる。
「何しやがる!」
「…イケナイ事」
理解できないまま、胸元も力任せに開かれて。
舌が首筋から耳元を這う生ぬるい感触が、時折耳に響く唾液の音が、気持ち悪い。
「…っく…」
萎えた自身を遠慮なく掌で追い上げられて、力の入らない体のくせに熱が集まってくるのが分かった。
ガタガタと震える身体と同じように、強制的に立ち上がった俺自身も情けないくらいに震えているんだろう。
コイツの含み笑いが、嘗めるような視線が、腹が立つ以上に恐ろしい。
殴りたくても腕が上がらない。
蹴りたくても足が動かない。
「別に何もしないよ。本当に久々だったから、ちょっと熱が治まらなくって」
視線が合ったその目は酷く欲情的で、背筋がゾっと逆立った。
沸きあがる底知れぬ恐怖は、強者を前にした弱者が感じるソレではない。
もっと動物的で、例えば肉食獣の牙に捕らえられた獲物のような。
霊力だけじゃ飽き足らず、コイツに肉も内臓も血の一滴までも、何もかも食い尽くされるんじゃないだろうか。
なのに、見入られたその目から、視線を反らせられない。
始まるのは、捕食の儀式。
捕らえられたのは獲物は、俺。
fin...
私的に弓親は誘い受けなので、この場合受け入れるのはゆみちーの方です。精神的に弓修って事で。
散々煽ったあげく、修兵の根元を紐で縛って出ないようにして、自分だけ勝手に楽しんだ後、さっさと放置して着替えに帰ればいいです。
原作のこのシーンで、私は修兵は攻めだ!と思っていたのがリバに変わりました(笑)
色っぺーよねあの吐息!
(05.11.24)
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